一口に偏光レンズといっても、多種多様な素材が存在しています。
その素材グレードのおかげで、ランクや価格が決まるのですが、ネットで調べても全然出てこなくて困ることありませんか?
実際、レンズ素材については理解するのが非常に難しく、同業者のブログでも間違ったことを書いていたりするぐらいなんですよね。
なので、今回の記事はデータベース的な内容にしていきたいと思います。
「どの偏光サングラスが自分にとって最強なのか?」という判断の基準になれば幸いです。
▼偏光サングラスまとめ記事も参考にどうぞ
釣り最強の偏光サングラス!いま選ぶべき偏光レンズメーカーと、選び方のまとめ
▼偏光レンズの水中の見え方をカラー別に比較してみた
【水面の比較画像】RARTS 偏光レンズ「カラー別」見え方確認用ページ
偏光レンズに使われている素材の種類は?
どれだけ良い性能の偏光レンズを使っていたとしても、正直見た目だけ判断が付く人は少ないでしょう。
そのため、偏光サングラスを買うときの判断基準に、素材の話が今までほとんど出ていませんでした。
- ガラスレンズ
- CR-39
- MRシリーズ
- ポリカーボネート
- トリアセテート
おもに偏光レンズで使われている、これらガラス1種類、プラスチック4種類、全部で5つの素材について解説していきます。
わかりやすく説明するため主観的な部分が混じってしまうことを予めご了承くださいませ。
マニア好みの「ガラス素材」
メガネ用レンズというのは、プラスチック素材とガラス素材にわかれています。
ガラスレンズは理想的な光学性能なので、世の中のプラスチックレンズはガラスに追いつくために日夜開発が進められているのです。
とはいえ、ガラスレンズが流行らないのはその重さ。
重い眼鏡を使っているとズレやすかったり、頭痛が出たり、と様々な弊害があります。
そのため一部のマニア以外は、プラスチックレンズを選びます。
ガラスレンズのメリット・デメリット
ガラスレンズといっても窓についているガラスではなく、光学用に屈折率と透明度を調整されたガラスのことです。
最大のメリットは耐傷性と歪みの少なさで、それを帳消しにする重さというデメリットがあります。
割れに関しては最近のものは改良されているため、昔のように簡単に割れたりはしませんが、どうしても重さの部分で敬遠されてしまいます。
また語られることは少ないのですが、ガラスレンズにはプラスチックレンズと違って素材本体にUVカット剤を混入できません。
UVカットは別でコーティングしなければいけないという制約があるため、長年使うと考えるとコーティング剥がれによるUVカットの減衰もあると思います。
- メリット:耐傷性がすごい、歪みがほとんど出ない
- デメリット:重い、割れやすい、UVがカットされない
見え方だけでいうとガラスレンズを超えるものがないにも関わらず、各デメリットのおかげでわざわざガラスレンズを選ぶ人は少ないのです。
また、プラスチックレンズの性質がガラスレンズに近づいてきているため、軽さの出せるプラスチックのほうが人気があります。
クラウンガラスとフリントガラス
ガラスレンズには、「クラウンガラス素材」と「フリントガラス素材」という2つの種類があります。
- アッベ数が50以上の屈折率1.5がクラウンガラス、軽い。
- アッベ数50未満で屈折率1.6以上がフリントガラス、重い。
それぞれも主成分も違いますが、大まかにアッベ数で振り分ける、という括りになっているようです。
ただの余談なので、ガラスの種類については覚えなくてもOKです!
プラスチックレンズとは?
「金属」というカテゴリーの中に、鉄、チタン、ステンレスなどが含まれているように、
「プラスチック」というカテゴリーの中にも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの様々な素材が含まれています。
そして、偏光サングラス用のレンズに使われているプラスチック素材といえば、
- CR-39(ADC)
- MRシリーズ(チオウレタン)
- ポリカーボネート(PC)
- トリアセテート
この4つを覚えておけば、ほぼすべてを理解したも同然。
とくに「CR-39」と「MRシリーズ」はガラスの代替にもなり得るほどのハイエンド素材で、有名光学メーカーの主力レンズには大体どちらかが使われています。
「ポリカーボネート」は高級な鋳造タイプと、安価なプレス量産タイプにわかれ、メーカーによって性能差が出ます。高クオリティのレンズはオークリーが有名ですね。
そして、「トリアセテート」「ポリカーボネート」などの大量生産されているレンズは、製品の安定性に欠けるというデメリットが出てきます。
では、細かく解説していきましょう!
コストに優れる「CR-39」:ハイエンド素材
この素材をなくしてプラスチックレンズは語れない!
「CR-39」は、1940年にアメリカのPPG社で開発されたアリル ジグリコール カーボネート(ADC)という素材で、元々は飛行機の燃料タンクのために作られました。
今なおハイエンドの偏光レンズに使われているプラスチックレンズですが、近年になって新型レンズ素材が出てきたために色々と制約が目立つようになりました。
- 長所:低コスト、製造が簡単、アッベ数が高い
- 短所:屈折率が選べない、度数を入れると厚くなる
長年作られている関係から製造している業者も多く、安定供給されているおかげでコストが安いのが一番のメリットです。
※アッベ数というのは色収差のことで、屈折率が同じ程度のガラス素材と変わらない優れた特性があります。
抜群の安定感!
度付きレンズではコスト以外のメリットがほとんどありませんが、安いというのは最大の正義だったりもします。
また、度なしレンズにおいての光学性能は高く、使い所さえ間違えなければ良いレンズなのです!
それに、長年作られてきたために安定しているという安心感もあります。
偏光レンズに使うには一長一短な部分がありますが、偏光ではない方のサングラス用カラーレンズや、伊達メガネレンズにするなら、今なお最高の素材といえるでしょう。
CR-39のデメリット
一番のデメリットというと、屈折率が1.5程度しか用意できない関係で、度数を入れると分厚くなってしまうことでしょう。
度数を入れない場合でも偏光レンズはサンドイッチ構造のため、通常レンズの1.3倍厚みが出ます。
そしてこの、屈折率1.5までという制約のおかげで、今やピンポイントなレンズ素材として扱われています。
元々、光学メーカーの作るメガネ用レンズは近視や遠視など視力矯正用として使われることがメインなので、これ以上開発が進まないんですよね。
メーカー側も薄型レンズを作れるほかの素材にシフトしているため、活躍の場がどんどん少なくなっています。
偏光レンズにおけるCR-39の立ち位置
「ヨード系偏光フィルター(発色が良い)」と相性がよく、明るい偏光レンズを作るならCR-39とヨード系フィルターの組み合わせがかなり優秀です。
とはいっても、新素材でも可視光線透過度が同程度のものはたくさん出てきましたし、一部の偏光マニア以外でCR-39の恩恵を受けることは少ないでしょう。
むしろ、ワンブロック成型のできるMRシリーズに耐久性(寿命)や加工製で大きく劣っているのが現状です。
それに寿命の面からいうと割高感が強く、CR-39で作る偏光レンズのメリットは導入価格が安い、ということだけになりかねません。
高アッベ数についてもカラー付きの偏光レンズだと知覚出来る人なんていないでしょうし、今後はますます厳しくなると思います。
ただ、プラスチックメガネの歴史を支えてきた立役者だけに、新しい使い道が見つかればいいな、とも思っています。
次世代レンズ!「MRシリーズ」:ハイエンド素材
三井化学が1987年に開発した「MRシリーズ」。
(※1.6~1.74までそれぞれにMR-8などの名前が付いていますが、便宜上MRシリーズと統一しています)
近年まで使われていた「CR-39」の持っている弱点をクリアした、チオウレタンという次世代レンズ素材が使われています。
日本のみならず、世界中で使われている実績を持っています(三井化学の2021年度の年商は1兆1650億円です)。
- 長所:軽い、割れにくい、加工製が良い、強度近視でも薄型レンズが使える
- 短所:価格が若干高い、アッベ数が低い
とくに秀でたところは屈折率で、1.6、1.67、1.74という薄さで安定した度入りレンズを作ることができます。
ほかにも軽さ、薄さ、アッベ数、耐久性などバランスの良さが際立ち、メガネ業界においてなくてはならないレンズ素材として知られています。
チオウレタンは硫黄を混合しているので、紫外線による黄変を防ぐため、最初から優れたUVカットが付いているのも隠れたメリットです。
▼MRシリーズ普及の歴史も面白いのでぜひ
http://merc.e.u-tokyo.ac.jp/mmrc/dp/pdf/MMRC34_2005.pdf
偏光レンズとMRシリーズの相性の良さ
MRシリーズは特性上、ワンブロック成型という手法が取れるため、熱や湿度に弱い偏光フィルターをより強固にガードできます。
つまり、従来の偏光レンズから比べて寿命や耐久性が高くなるのです。
今までの偏光レンズは、レンズとレンズの間に偏光フィルムを挟み込み、接着剤で接合する「貼り合わせ」という方法を取っていました。
ですが、ワンブロック成型は、偏光フィルムにレンズ原料を流し込んでから加熱するため、フィルムとレンズが「融合成型」されるという利点があります。
接着剤を使わずにレンズとフィルムが強力に接合されることで、今まで不可能だったナイロールフレームやツーポイントフレームへの装着ができるようになったのです。
また、ワンブロック成型では耐久性に優れた染料系フィルムが使われているものが多く、CR-39のヨウ素系フィルムを使ったものに比べて圧倒的高寿命になっています。
MRシリーズの素材特性とは?
アッベ数に関しては、屈折率が高くなるほど反比例してアッベ数が低くなるレンズ特有の性質があるため、屈折率1.5のCR-39に軍配が上がります。
ですが、人間の目のアッベ数が50程度とそこまで高くないうえに、アッベ数は30後半(敏感な人でもMAX40ぐらい)もあれば違和感なんてまず感じないでしょう。
(※注 表のMR-6は改良が進んでMR-8になり、アッベ数は41まで上昇しています)
アッベ数以外の部分、レンズ中心厚は1mm以上もMRシリーズのほうが薄いし、重量も2グラム軽くなっています。
耐衝撃性にいたっては2倍以上の差があるんですよね。
さらにコーティングとの相性がいいため、コーティング寿命も長くなるという、プラスチックレンズに革命を起こした素材なのです。
MRシリーズのデメリット
- 屈折率が高くなるとアッベ数が低くなる(42–32)
- 屈折率が高くなると重くなる(1.30g-1.47g/ cm3 )
高屈折率レンズの仕組み上、屈折率が高くなるほどアッベ数が低くなり、比重が重くなる傾向があります。
デメリットといっても数値上だけで、実際の生活に問題が起こるほど深刻なものではなく、他のレンズ素材と比べるとむしろ優等生といえるレベルで性能が良いです。
一番の問題点は、メーカーがCR-39から乗り換えようとしたとき設備投資が必要になるということ。
設備の更新にかなりの大金がかかるらしく、発売から結構経っていますが資本力のあるメーカーしか取り扱いがないんですよね。
そんなわけで、MRシリーズを扱っているかどうかが、大きなメーカーかどうかを見分けるポイントにもなっていたりします。
MRシリーズを採用している光学メーカー
- HOYA
- セイコーオプティカルプロダクツ
- 東海光学
- カールツァイス
- 伊藤光学工業
- アサヒオプティカル
- エシロール
- ホプニック研究所
- ローデンストック
国内で有名な光学メーカーだとこういったところが採用しているそうです(公式サイトから引用)。
MRシリーズを作るためには多額の設備投資が必要なため、資本のある大手光学メーカーの名前が並んでいますね。
なかには上記メーカーへOEMで依頼しているメーカーもあるでしょうけど、中小メーカーに広がるにはまだまだ先が長そうです。
将来的に「偏光レンズ」もMRシリーズに置き換わっていくでしょう
ガラスレンズがプラスチックレンズに置き換わっていったように、今後はプラスチックレンズもMRシリーズが主流になっていくでしょう。
自社で今CR-39を作っている各メーカーも、今後は設備の老朽化にともなって更新されていくのではないかと思っています。
さらに、2022年には環境に配慮した「Do Green」という新しいMRシリーズも出てきています。
これは植物由来の原料を使用したレンズ材料を使うことで、従来の石油材料から脱却できる可能性を秘めていると同時に、三井化学の技術力の高さも表しています。
すでにMR174(1.74)がDo Green素材に代わっていて実用化もできていることから、補助金などが出たら一気に広がるかもしれません。
耐衝撃性能がすごすぎる!「ポリカーボネイト」
- 長所:軽くて割れにくい
- 短所:アッベ数が低い、メーカーごとの性能差がすごく出る
ポリカーボネートの特徴はとにかく割れにくい(強度がCR-39の20倍以上)こと。そして割れたとしても飛散しにくいという特性があります。
飛行機の窓ガラスにも使われるほど安全性が高いため、スポーツ用のメガネや、ゴーグルに使われることが多いです。
インジェクション成型(射出成型)で大量生産して、1枚数分で完成させることができる、安価なレンズの代表格ですね。
ただ、メガネ用レンズとしての光学性能はかなり微妙で、とくに「見る」ことが重要になる偏光レンズではちょっとオススメしにくい素材だったりもします。
偏光レンズの大敵である歪みや色抜けを取ることが難しいため、長期間使用した場合の目への悪影響が懸念されています。
オークリーのポリカーボネート偏光は別格
有名ブランドでいえば「オークリー」がポリカーボネート製の偏光サングラスを採用しています。
ただし、オークリーのサングラスは同じポリカーボネートでも、安価な大量生産品ではなく、CR-39のように鋳造タイプで作られているそうです。
気になって店頭にあるオークリーの偏光レンズを確認しましたが、歪みは見られませんでした。
スポーツに特化したサングラスを作るため、割れにくさにこだわってポリカーボネートを使えるレベルまで設計開発した執念がすごいと思います。
安価な偏光サングラスの代表格「トリアセテート」
トリアセテートってセルフレームにも使われるぐらい、良い素材ですよね。
加工製に優れているため、レンズ素材としても素晴らしい!と思わせてくれますが、じつはそうではありません。
レンズの薄さで使うには強度が足りてなく、歪み、割れ、コーティング剥がれ、など様々なトラブルの元を最初から抱えています。
また、光学性能も最低ランクですので、ポリカーボネート同様、長時間の使用はオススメできません。
用途を選ぶ素材といえます。
偏光フィルムについて
※偏光フィルムについては内容が複雑すぎる上に、購入時に種類を選べるわけでもないため、聞き流し程度に軽く書いておきますね。
偏光フィルムは「ポリビニルアルコール(PVA)フィルム」を縦に伸ばしたあとに、「染色した」ものが使われています(※製法についてはこちらの記事を見るとよく理解できると思います)。
偏光フィルムの性能差は、PVAの種類ではなく、染色方法によって大きく差がでます。
- 「ヨウ素(ヨード)系染色」:偏光性能が優れている代わりに,熱,光,水などに対する耐久性に難あり
- 「染料系染色」:耐久性に優れている代わりに、初期偏光性能が若干弱い
現在は、この2種類の染色方法によって、偏光フィルムの性質も変わります。
フィルムの染色方法をメーカーパンフレットに掲載されているのはそういう理由からです。
フィルム染色方法はどっちがオススメ?
今までは、明るく作りやすいヨード系染色がよくつかわれていましたが、湿度に弱く、高温や強い光の下で長時間使うと性能がどんどん劣化する、というデメリットがありました。
一方で、染料系染色の偏光フィルムは初期偏光性能が劣っていて、可視光線透過率の高いものが作りづらい(明るいカラーが作りにくい)というデメリットを持っています。
ざっくりいうと、ヨード系は明るく作りやすい代わりに耐久性が弱い、染料系は明るく作りにくい代わりに耐久性が高い、ということです。
ですが、偏光フィルムはレンズ素材から比べて進化が早く、今では染料系でもヨード系と変わらないぐらいの明るさになってきています。
そのため、同じカラーと偏光度という条件なら、偏光サングラスの使用用途から考えて「染料系」のほうを推したいです。
偏光フィルムの色抜け問題
偏光フィルムの染色方法にはもう一つ色抜けの話があって、
- ヨード系:青抜け
- 染料系:赤抜け
という染色方法によって色抜けの方向性が変わってきます。
この色抜けは低品質の偏光レンズに起きる問題なので、色抜けしないことがハイエンド偏光レンズのセールスポイントでもあります。
もちろん、大手光学メーカー製の偏光レンズではクリアされているため、CR-39、MRシリーズ、のレンズなら基本的に考える必要がありません。
よく話題に上がるのは、量産品ポリカーボネート、量産品トリアセテート、に使われている染料系フィルムの赤抜けです。
ただ、ハイエンドレンズでも明るいレンズカラーを選ぶと、ごく稀にチラつくことがあるようです。
偏光フィルムの耐久性について
ヨウ素系、染料系、でそれぞれ差はあるものの、元々偏光フィルムは水分に弱いという改善されにくい弱点があります。
そのため、海釣りで使いっぱなしにする人や、洗ったまま水分を拭き取らない人は、レンズ周辺部から色抜けしてくることがあります。
マメにサングラスを手入れできない人や、耐久性が気になる人は、レンズ製法にワンブロック成型と書かれているものを選んでみてください。
ワンブロック成型ならフィルムとプラスチックを融合成型させているので、フィルムの耐久度がかなり上がります。
偏光フィルムには一番効く角度がある
空中からの入射光がガラスで反射される場合の偏光角は56°。
水面で反射する場合にはの偏光角は53°。
偏光度99%の偏光度だとしてもフィルムがすべて反射光を消してくれるわけではなく、じつは入射光と反射光から計算される最適な角度というのがあります。
釣りをしていて太陽が低い位置(朝焼けとか夕焼け時)にくると急に水面がギラツキ始めるのは、こういった理由があるからなんですね。
明るい偏光レンズを作るのが難しいわけ
偏光フィルターはその性質から、可視光線透過率100%、つまりクリアレンズ(透明)にすることができません。
理論上、偏光度99%をキープしたままだと可視光線透過率を50%程度まで上げることができるそうですが、詳細はよくわかりません。
もちろん理論上の話なので、今の段階では「ヨウ素系で40%前後」「染料系で38%前後」がそれぞれ最大値になっています。
また、偏光度99%の表記があったとしても、レンズカラーや可視光線透過率の濃さによって反射光の制御力が変わります。
12%の濃いレンズと、38%の明るいレンズなら、濃いレンズのほうが偏光効果が高まるのです。
つまり、実践で使えるレベルの明るい偏光レンズを作るには、各メーカーそれぞれで相当な苦労があるわけです。
偏光フィルム開発は国内企業が強い
「○○以外の会社は偏光フィルムを海外から買ってる」
みたいな趣旨の話があるようですが、国内企業が液晶をゴリゴリ開発しているのにわざわざ海外で買う理由ってあるんですかね?と思ったりしたので、これも書いておきますね。
まず、日本においての偏光フィルムというのは「液晶テレビ・モニター、デジタルカメラ、スマーフォン、パソコン、家電」などの膨大な需要があり、日夜研究開発が進んでいます。
とくに偏光子(偏光フィルムのことです)界隈は日本企業がシェアのほとんどを占めているため、最先端のフィルムが手に入りやすい状況なのです。
ちなみに、偏光になる前のフィルム素材(PVA)も日本企業がトップで、最大手は日本合成化学(三菱ケミカル)とクラレです。
上流から下流まで日本がトップを走っている状態なんですよね。
▼こちらを見れば偏光フィルムの国内需要のすごさがわかると思います
平成16年度 特許流通支援チャート:液晶用偏光板樹脂
https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/chart/fkagaku26.pdf
メガネ屋”以外”で買える「ハイエンド偏光サングラス」について
これはあまり出したくない情報ですので、ここを見た人の心の中にだけ留めておいていただければ幸いです。
じつは、ヨード系染色を使っている偏光レンズって耐久性の関係で、店頭に長期在庫として置かれていると寿命が短くなっている可能性があります。
釣具屋やゴルフ屋のショーケースで長期保管されている偏光グラスありますよね?
あれって入荷してすぐの商品ならいいのですが、1年、2年と保管されているものは徐々に劣化していると言われています。
「○○のサングラスは全然偏光されない」
「安物と見比べてみたけど変わらなかった」
このような話の裏にはこういう劣化問題が関係しているかもしれませんね。
実際に、長期在庫品の偏光サングラスを手に入れたことがないので、時間が出来たら調べてみたいと思います。
まとめ
ちょっとまとめるつもりで書いていたら、ものすごく長くなってしまいました。記事1つ書くのに準備含め1ヶ月以上掛かっています。
まだこれでも全体の10分の1も書けていないため、本当に全部知ろうとしたら光学メーカーで研究職になるしかないかもしれません。
とくに、光学系素材の話は一様にまとめられたものがなく、これ以上知ろうと思うと論文や特許関連のPDFを読み漁りデータを比較する、という非常に充実した時間を過ごすことになります。
この記事が、あなたにとって最高の偏光サングラスを作るお手伝いになれば幸いです。
▼偏光サングラスまとめ記事も参考にどうぞ
釣り最強の偏光サングラス!いま選ぶべき偏光レンズメーカーと、選び方のまとめ
▼偏光レンズの水中の見え方をカラー別に比較してみた
【水面の比較画像】RARTS 偏光レンズ「カラー別」見え方確認用ページ