今回の記事では、弱視や治療用メガネについて実体験を元に解説させていただきます。
同じ弱視の子供を家族に持つ店長が子どものメガネ屋というプロの立場だからこそ、
- 親が知りたい「子供の目の状態」
- 「治療用メガネ」についての知識
- これからどうなるんだろう......
という不安を和らげるお手伝いができればと考えております。
「いきなり子どもの弱視が発覚したことで、どうしていいか分からない」
と不安を抱えている方は、ぜひ最後までお読みくださいませ。
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→ ミナミメガネの「子供メガネ」へのこだわり
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→ 子どもがメガネを嫌がる場合に、掛けさせるコツって?
はじめに、弱視は治るの?
みなさんが知りたい内容は、完治するかどうか、についてだと思います。
弱視は子どもだからこそ治療できる病気ですが、完治の度合いについては期待しているものとは異なるかもしれません。
まず、完治したといわれる状態ですが、眼鏡をかけて矯正視力1.0が治療目標としての目安になります。
将来的にはメガネを外すことが出来る子も中にはいるようですけど、裸眼で生活できるようになるのは稀だと考えたほうがいいです。
また、治療開始が低年齢ほど効果は大きく、
- 4歳までに治療を開始すれば95%
- 7歳までで75%以上
が治ると眼科医がデータで出しています
治療が遅れる(小学校高学年に近づく)につれて治療の効果が0%に近くなっていきます。
3歳児検診でよく発見される病気ですが、そこで見つかる確率4人に1人程度であるため、潜在的に弱視を抱えたまま成長する子もたくさんいます。
お子様の様子を見ていて気になる方は、検診以外でも病院で検査することを勧めています。
弱視は様々なパターンがあります
「弱視」と一括りにいっても、大きくわけて4種類、さらにそこから個人ごとに細かく症状でわかれてくるため無数にあります。
そのため、これが間違いのない治療方法!というような話はないのです。
「あの人の病院ではこんな治療をしてたのに、うちでは治療が違う!」ということもよくあります。
ただ、すべてにおいて治療しなければ結果的に「メガネを掛けても視力が出ない」に落ち着くので、まとめて弱視と呼ばれているんですね。
治すためにはメガネ治療が必須になります
弱視は大きくわけて下記のように4種類の原因と治療法方があります。
【屈折異常・不同視弱視】
の場合は、目の状態に合わせた眼鏡を作製し、網膜にピントをしっかり合わせることで視力の発達を促します。
【不同視】
の場合は、眼鏡の着用に加え、よく見える目を隠す遮閉訓練(アイパッチ)をあわせて行い、見えない目をトレーニングさせる場合もございます。
※目薬などで遮蔽訓練と同じ状態を作り出し治療する場合もある。
【形態覚遮断】
に関しては、原因を取り除くことが優先されます。専門医の指示に従い、適切な手術などを行い術後の経過観察中に、眼鏡での治療を併行して行われることが一般的です。
このように一部の症状を除いて、治療にとって眼鏡が欠かせないものです。
ですが、子供さんによっては、眼鏡を掛けることを嫌がる場合もありますが、掛けている時間が長いほど治療が進みます。
日常では、入浴や睡眠時以外は常に掛けるよう心掛けましょう。
また子どもの視力は変動が激しいので、定期的に眼科で度数があっているかのチェックも必要です。
弱視に生まれて子どもがかわいそう?
現在では、弱視は50人に1人とも言われており、誰もが他人事ではありません。
3歳児検診だけで見つかる確率は「25%程度」という報告もあり、検診以外にも個人で眼科を受診することが重要と言われています。
というのも、人間の目というのは10歳前後で視力の発達が止まってしまうのですが、子供が小さいうちは視力測定がうまくいかないこともあるからです。
そして、「なるべく早く見つけて治療を開始してほしい」というのは、視力の回復が遅れるとそれだけ視力回復のスピードに支障が出るからです。
子どものうちから眼鏡が必須になってかわいそう、、、と思うかもしれませんが、早期に発見できたとしたなら、それは非常に幸運といえるでしょう。
眼鏡はいつまで掛けないといけない?
弱視をザックリと簡単に説明するならば「メガネを掛けても視力が出にくい」という病気です。
つまり、「メガネを使って視力が出る状態まで持ってこれた」ということが回復したということになります。
そのため、治療が終わったとしてもメガネを外すことになるのは稀だと思ってください。
親の立場からいうと、外せるようになってほしいという気持ちが強いと思いますが、弱視の場合は「今までよりも見えるようになった」ということが重要なのです。
ただし、症状は個人個人で変わってくるため、人によってはメガネを外せるようになった、ということもあります。
ここで気をつけてほしいのが、専門医の指示なしに眼鏡を外すと、再び視力低下などが起こる場合があるため、眼鏡を外す場合は必ず専門医の指示を得てからにしてください。
大人になってから弱視発見!もう治らない?
一昔前の医学では、大人(中高年以降)になってからの治療はできないとされておりました。
ですが、医療技術の進歩とともに、今では見つかった時点から治療を開始すれば、ある程度(個人差があります)の視力改善が期待できることが分かってきています。
ただ、子どものうちから治療を始めたときと比べると、回復量が雲泥の差になることは知っておいてください。
ミナミメガネが子ども用眼鏡を扱いはじめたキッカケ
さて、弱視の詳しい説明に入る前に、当店が子どもメガネを扱っていることと、弱視をここまで特別詳しく扱っている理由についてご説明させていただきます。
ミナミメガネは元々、大人専門の眼鏡店でした。
子供向けメガネを取り扱うようになったキッカケは、10年以上前に孫の三歳児検診で弱視が発覚したことから始まります。
いくら眼鏡屋といえど、子どもの目の病気、それも弱視なんて聞いたことはあっても知識があるわけがありません。
3歳児検診で発覚したとき眼科で「弱視という目の病気です。処方箋を出しますので早めにメガネを掛けてくださいね!」と言われたとき、頭の中が真っ白になるほど衝撃は忘れられないです。
そこから10数年、もはや普通のメガネ屋とは言えないほどの技術と、眼科医さんとの密接な知識交換などで、少しずつ子供メガネへの理解を深めてきた背景があります。
医療の進歩とともに弱視の発見数が増えて認知も増えてきましたが、それでも一般の方からすると雷が落ちた時以上のショックがあると思います。
子供さんの将来を思うと、不安で色々な事が頭をよぎるでしょう。
「弱視ってなに?治るの?目見えなくなるの?」などなど考えれば考えるほど、悩みは尽きないと思います。
インターネットで調べても分かりづらい解説ばかりで、「どこにも不安を解消してくれる答えがない!」と、店頭でよくお声をいただきます。
だからこそミナミメガネは、メガネ屋という立場を活かし、
「自分の家族のために、本気で大人が子供にできることがあれば全部してあげたい!」
その一心で、弱視や治療について色々なことを調べて子どものメガネに向き合ってきました。
今では、その知識と長年の経験を活かして、多くのお子さんや親御さん達と一緒に治療のお手伝いをさせていただいております。
医学は毎日一歩一歩前進していますが、弱視は症例が人によって様々。
歴戦の眼科の先生でも、患者さんに「間違いなく治るよ」と言うことは難しいのです。
とはいっても、今の臨床データだと、早期発見・早期治療で治療可能なことがほとんどです。
お子様を思うあまり気持ちが先走ってしまうこともあります。その気持ちはすごくわかります。
今日できることを家族一緒に楽しく続けていくことが、笑顔あふれる未来への第一歩となります。
ぜひ一緒に頑張りましょう。
弱視で親御さんが気になっているポイント解説
これらは、私自身が家族に弱視があると告げられたときに一番気になった部分、そして、お店に来ていただいた親御達さんとお話して良く質問されることをまとめてみました。
- 弱視って言われたけど何?見え方は?
- どこの病院に行けばいいの?
- レンズはどれがいい?
- 子ども向けのフレームってオシャレじゃないの?オススメのブランドは?
- どこのメガネ屋で買うのが正解?値段は?
- 治療用メガネの補助金って何?申請手順は?
少し難しい質問もありますが、ひとつひとつ解説させて頂きます。
もしこの記事を見ているみなさんが、ご自身の気になっている所と被るところがあれば、チェックしてみて下さい。
弱視とはなに?(ちょっと難しい解説付き)
弱視といわれても、一般の方には聞き慣れない病気だと思います。
弱視の治療が必要な理由から症状例まで、みなさまに分かりやすくポイントを絞って説明させていただきます。
弱視の治療が必要な理由
最初から読まれている方には何度も同じような話が続いて恐縮ですが、皆様の弱視で勘違いしやすいポイントです。
弱視とは裸眼視力が悪いというわけではなく、「メガネを掛けても視力が十分に出ない状態」のことをいいます。
視力は生まれてすぐの赤ちゃんの頃から持っているわけではありません。成長段階で視力が上がっていきます。
その視力が発達する成長段階において、何らかの理由で視力の発達が行われていない状態を弱視と言うんですね。
なので、目の裸眼視力が出ていて、しっかり見えている子でも弱視の可能性があるんですよね。
(※数は少なくなると思いますが、視力が1.0以上で弱視の子もいるようです)
これを治療せずに放置をしてしまうと、大人になっても視力が発達せず、視機能障害(一生視力が出づらい)になる場合もございます。
たとえば将来的に、「車の免許を取るときに視力が足りないからメガネを掛けたけど、視力が補正されない」という状態になるとすごく困りますよね。
子どものうちの発見は難しいのに、大人になって困るタイミングで治療できないのが弱視の厄介なところなのです。
弱視の兆候
親が違和感を感じるおもな兆候症状としては、
- テレビに近い位置で見る
- 目を細めている
- 顔を傾けて見ている
- よく片目をつぶって見ている
- 左右の目が異なる方向を向いている
いかにも物を見にくそうにしている場合には注意しましょう。
・片目だけの弱視は発見しづらい
また、片目がよく見える場合などは無症状な場合も多く、お子様の性格によっては毎日一緒にいてもなかなか気づくのが難しいです。
気になる場合は、
- 何も症状がなくても、一度眼科で弱視検査をしてもらう ←オススメ!
- 3歳児検診で使う検査キット(絵カードを使用したりする質問紙式)で細かく検査する ※見逃しの可能性もあります
などで弱視かどうかを疑うことも大事ですね。
弱視の種類
弱視には、色々な原因がありますが、大まかに分けて
- 屈折異常弱視・・・遠視や強度な近視などの屈折異常が原因となる。
- 不同視弱視・・・左右の目の屈折値が異なることで起こりうる、それにより見やすい方のばかり使って見えない目を使わず弱視になる原因となる。
- 斜視弱視・・・目の位置や視線がズレることで、目の視力がのびず弱視の原因となる。
- 形態覚遮断弱視・・・先天的な白内障や強度の眼瞼下垂(がんけんかすい)などが原因で、目に光が届かず遮断された状態で起こる弱視である。
となります。
どれも専門医の精密検査が必要となりますので、気になる方は最寄りの眼科にご相談くださいませ。
医療機関での検査の重要性
一般のご家庭で弱視を発見するのは、目に見えた異変などが分かりにくいためとても難しいです。
とはいっても、住んでいる地域によっては3歳児検診が終われば視力検査の機会もほとんどなく、発見する機会はなかなか訪れません。
そして、弱視の治療は、視力が発達する10歳頃までしか効果が出にくいのです。
だからこそ早期発見、早期治療が重要となっているんですね。
症状がなくても眼科などでしっかりと検査していただく事が重要となります。
弱視検査は乳幼児から可能ですが、目安としては2~3歳前に検査することがオススメされています。
眼科ならどこでもいいの?
こちらの質問はよくお客様からいただくのですが、中々回答が難しい所ではあります。
理由としましては、
- 医療に関しては、技術が変動的なものである。
- 症状によっては、専門分野が変わる。
- スムーズな治療を進めるための専門医と保護者の相性。
など、様々な要素が加味されるためです。
そこで、今回はざっくりとしたポイントを紹介させていただきます。
専属の視能訓練士が在籍している
国家資格でもある視能訓練士とは、弱視の視力向上や正常な両眼視機能の獲視能訓練を行える検査士のことを指します。
また、眼鏡店に視能訓練士が在籍している場合もありますが、視能訓練には症状などを含めた担当医との報連相が重要となります。
そのため、できるだけメガネ店在籍の視能訓練士ではなく、眼科に在籍、または提携している視能訓練士に任せる方がいいとされています。
ただし視能訓練士については絶対的な条件ではありません。
視能訓練士がいなくとも適切な治療をしている眼科も多くあります。
保護者が納得のできる治療と解説をしてくれる
保護者にしっかり寄り添ってくれて、話しやすい眼科に行くこともおすすめポイントの一つです。
現にお客様から、「眼科に行った際に質問したい事があったが、気が引けてしまい聞けなかった。」ということをよくお聞きします。
ですが、子供の眼を守る一番の存在は保護者の皆さんになるからこそ、分からないことはしっかりと質問して不安や不明な点を取り除く事が大事です。
もちろん説明してもらうことも、大事な診療の1つでもあるので、遠慮せずにどんどん質問してみましょう。
ただ、眼科も多くの患者さんを診ないといけないため、1組の患者のために時間を無限に取れるわけではありません。
質問する側も、ある程度聞きたい内容などをメモにまとめてから、質問すればお互いスムーズで良いかと思います。
通院のしやすさ
弱視となると、定期的に眼科に通うことになることが多いです。
その際に遠方の病院を選択しすぎて、通うのが難しくなると元も子もありません。
何かあった時にすぐに相談に行ける、 通いやすい眼科を選ぶのもポイントです。
ここまで、色々と説明しましたが、保護者自身が治療に対して不安に感じたりする場合は、出来るだけ早い段階で眼科を変更するセカンドオピニオンを実施することも大切です。
口コミから探す
保育園や幼稚園などのネットワークを使い、情報を入手するのも一つの手段です。
先輩ママ、パパの中には、すでに弱視の治療を開始しており、病院の雰囲気などを教えてくれる場合もあります。
もしどうしても周りに聞けない場合は、「眼科医指定店」などの信頼できるメガネ専門店などに相談することもオススメです。
もちろん高知県でしたら、当店でもご相談を受け付けておりますので、お気軽にご来店くださいませ。
お子さまがメガネを嫌がる場合
子供が眼鏡を嫌がってしまうという相談は、当店でも結構多いです。
もちろんその際は、まず保護者の方のお話をしっかりお聞きして、子供が”なんで”メガネを嫌がるのかという原因を探し出します。
感情的になってしまうのもわかりますが、かならず嫌な理由が何かあるはずです。
なるべく気長にゆっくり聞き出してあげたいですね。
詳しくは下記のページを併せてご覧ください。
補足記事について
一つ一つを説明していくと長くて読みにくくなるため、記事を分割しています。
- レンズはどれがいい?
- 子ども向けのフレームってオシャレじゃないの?オススメのブランドは?
- どこのメガネ屋で買うのが正解?値段は?
- 治療用メガネの補助金って何?申請手順は?
こちらについては、下記記事をお読みくださいませ。
子供の弱視メガネの選び方から
https://minamimegane.com/2024/11/05/amblyopia-eyewear-how-to/
おわりに
今回の記事では、弱視の家族を持つ店長の実体験をもとに、弱視について詳しく解説しました。
弱視の子を持った親御さんたちは、もちろん子どものメガネを販売しているメガネスタッフにも読んでもらいたいと思い書きました。
みなさんの不安に寄り添い、納得ができる治療法を選ぶお手伝いができれば幸いです。
治療において正しい情報は、お子様の明るい未来と視力を守る大切なポイントです。
目の視力が出ないことで、子ども達が夢を諦めないといけないという悲しい結末にならないように、家族一丸となって治療に取り組みましょう。
当店も子供メガネの専門店として、多くの子供達や保護者のみなさんが安心して治療を続けられるようサポートいたします。
お子様の目の健康を守るため、一緒に頑張りましょう。
お子様の眼に関する関連記事はこちら
→ 子供用の弱視メガネはどう買うのが正解?プロが解説します
→ ミナミメガネの「子供メガネ」へのこだわり
→ 子供の弱視(遠視)、斜視等の治療用眼鏡についてや、治療用眼鏡の保険適用の申請手順
→ 子どもがメガネを嫌がる場合に、掛けさせるコツって?