カラーレンズを探しているとたまに見つかる「アリアーテ」もしくは「アリアーテカラー」という言葉。
ネットで調べてみても説明不足すぎてみなさん混乱していると思います。
で、このアリアーテをざっくりいうと、国内のレンズメーカーが総出で作った「レンズカラーの統一規格」のことです。
一般の方には馴染みがないかもしれませんが、馴染みがないのもまた問題かもしれません。
じつはここ最近になって、お客さまからの指摘があり言葉が浸透していないことに気が付きました。
今までメガネ業界では当たり前に使われていた言葉なので、一般の方が使っていない業界用語だということに気が付いていなかったのです。
ということで今回は、メガネ業界内でよく使われるアリアーテカラーの意味についてご説明していきましょう!
アリアーテカラーとは?どういう意味?
レンズメーカーでは、NIKONも、HOYAも、イトーも、セイコーも、大手光学メーカーではそれぞれカラーレンズにアリアーテという名前のカラーラインナップがあります。
パンフレットとかでも説明不足すぎて申し訳ないんですけど、ざっくりいうとアリアーテは、各社が共通で使っているカラーの標準規格のこと。
もちろん染色はそれぞれレンズメーカーの工場でおこなっていますが、染色のときの色見本として使われてるのがアリアーテカラーなのです。
また、メガネ業界ではアリアーテ、アリアーテカラー、どちらの名前でも呼びますが意味は同じです。
よくSNSで、「HOYAのアリアーテを入荷しましたー!」みたいな同業者の触れ込みを見たりしますが、HOYAのカラーレンズにアリアーテというシリーズがあるわけじゃない、ということです。
アリアーテをもう少し詳しく深掘りしていきましょう
先ほどもいいましたが、アリアーテカラーというのは「メガネ業界におけるレンズカラーの統一規格」のことです。
(※アリアーテとはスペイン語で「花壇」という意味があって、アリアーテのカラーを花壇に咲く花に見立てているようです)
つまり、一般のメガネ店で売られているほとんどのカラーレンズにはアリアーテ上の名前があって、メーカーが変わっても同じ色を出すことができるのです。
いま現在、HOYAのグレー50Fをつけていて、伊藤光学のグレー50Fに乗り換える、みたいなときに混乱しなくてすむんですよね。
メーカーごとのレンズ素材や染色方法が変わるため多少の誤差はでますが、並べてわかるかわからないか、ぐらいの違いです。
ちなみに呼び方でメガネ屋ごとに多少差があって、当店ではフェアオークルはオークル、グロウプラムはプラム、のように頭のシリーズ名を外して名前を呼ぶことが多いです。
色の統一規格は本当に大事です
一般のお客さまに共通規格といっても意味がわからないと思うので、例を作ってみました。
上の図はWEB配色ツールから適当にブラウンを抜き出しています。(※メガネのレンズカラーとは違うのですが分かりやすい例で出しました)
こうして並べてみると一口に同じブラウンと言ってもかなり違いがあるのがわかってもらえると思います。
もちろんブラウンだけじゃなくて、グリーン、パープル、ブルーなど、すべてのカラーにおいてこのような色の差というのは存在しているのです。
つまり、アリアーテのような共通規格が生まれる前はメーカーごとに作っている色の差があったんですよね。
今ではアリアーテのカラーをベースに考えることができるため、お客様との意思の疎通も楽になっています。
色を決めているのはオプティカルカラー協会
2003年に有名レンズ・フレームメーカーが集まって共同開発されたアリアーテカラー。
適当に決めているわけではなく、「オプティカルカラー協会」が代表になって色を決めています。
オプティカルカラー協会には、上記の国内主力メーカーが参加しています。
- 株式会社アサヒオプティカル
- 伊藤光学工業株式会社
- 株式会社イトーレンズ
- カールツァイスビジョンジャパン株式会社
- 昭和光学株式会社
- セイコーオプティカルプロダクツ株式会社
- 東海光学株式会社
- 株式会社ニコン・エシロール
- 株式会社ニデック
- 日本レンズ工業株式会社
- HOYAビジョンケアカンパニー
よくこんなの作れたよねっていうぐらい国内大手レンズメーカーが総出で参加している、ものすごい協会だったりします。
ちなみに2022年時点での理事長は東海光学の社長 古澤さんです。
どこのメーカーでも通用するカラー名
アリアーテカラーに参加している企業は前述の通りですが、じつは参加企業以外のメーカーでもアリアーテといえば大体通用します。
それぐらいアイウェア業界に浸透している言葉なんですよね。
ということで、アリアーテのカラーラインナップを理解していると、オシャレなサングラスを作るときに役立ちます。
余談ですが、カラーサンプルがどこの店にも1つはあるので、アリアーテの色名については覚えていなくても問題ありません。
さらに進化するアリアーテカラー
サングラスのカラーには流行があるので、メーカーも共通規格としてのアリアーテを作りっぱなしにしてしまうと死活問題になります。
ということで、2009年に「ニューアリアーテ」、2015年には「アリアーテ トレス」としてレンズカラーが更新されています。
また、アリアーテ トレスという名前ですが、トレスはスペイン語で「3」、つまり3番目のアリアーテということ。
じゃあ2番目に作られたニューアリアーテのときも、ニューじゃなくてウノ(スペイン語で2)でいいじゃないって思うかもしれませんが、まぁそんな感じです。
たぶん次がそろそろ出る頃合いなので、「アリアーテ クアトロ(スペイン語で4)」みたいな名前になると予想してます。
アリアーテカラーが更新されると廃盤カラーが出るよ
ずっと使える共通規格として生み出されたアリアーテですが、ニューアリアーテ、アリアーテトレス、と新しいレンズカラーに更新されるたびにカラー名も更新されていきます。
ただ、もし過去に使っていたお気に入りのレンズカラーがなくなってしまっていた場合でも、再度手に入れることができる可能性は高いです。
アリアーテレンズの記事なのでカラーオーダーについては詳しく書きませんけど、お近くのメガネ店に相談してみてください。
アリアーテ トレスのカラーラインナップ
アリアーテ トレス(arriate tr3s)のテーマは「トーン」です。
肌の色に合わせたカラーラインナップが中心になっていて、ライトカラー系は「肌の明るさを手伝う」といったコンセプトのものが多いです。
いろんなシリーズが並んで難しそうに感じてしまうかもしれませんが、ベースになる色は下記のとおり。
- 基本カラー:12色
- スパーキーカラー:2色
- サングラスカラー:3色
そんなに多くはないです。
次項からはシリーズの紹介になりますが、名前についている「F」はフルカラーのFで、「G」はグラデーションのGになります。
国内大手メーカーが参加しているだけあって、レンズカラーはどれも洗練されていて、使用場面のイメージが湧きやすいですね。
Sheer F(シアーF)
シアーFは、大雑把にいうと濃度10%(視感透過率90%)の基本カラー12色をまとめたシリーズです。
ほぼ色の付いていないクリアに近いレンズなので、肌馴染みがよく、明るい表情に見えるのが特徴。
メーカーにもよりますが、ほぼすべてのレンズがこのぐらいの薄さでもUV100%カットなので使える場面は多いと思います。
<カラーの詳細説明>
透明のベール、シアートーン。
表情が透けてみえるほどにさり気なく。
淡くピュアな色彩とレンズのクリア感が重なったとき、ベールをまとったようにふわりとしたニュアンスカラーが生まれます。
ノイズのない静かな景色、澄んだ水や空気、光をイメージさせるどこまでも透明感のあるトーンです。
Natural F(ナチュラルF)
ナチュラルFは、大雑把にいうと濃度15%(視感透過率85%)の基本カラー12色をまとめたシリーズです。
順番的にはここにナチュラルGが来るのですが、ナチュラルFが先に来たほうがわかりやすいと思って先に紹介します。
さきほど紹介したシアーFとの違いは濃度(15%になった)だけ。
実際に店頭で注文するときは「ナチュラルFのフェアブラウンをください」よりも、「フェアブラウンの15%をください」のほうが伝わりやすいかもしれません。
<カラーの詳細説明>
肌に凛と映える、ナチュラルフルカラー。
モードな表情を生みだします。
フルカラーによってナチュラルな中にも凛とした色彩の個性が際立つ、ナチュラルアクセントの効果があります。
ファッションカラーとして男女問わずスタイルッシュに主張。
新設15FのFはフルカラーの意味であると同時にfashionのF、モードな表情が生まれるトーンです。
Natural G
ナチュラルGは、濃度15%(視感透過率85%)のグラデーションカラーをまとめたシリーズです。
ちょうどこのぐらいのレンズ濃度からグラデーションが薄っすら確認できるようになりますね。
色の薄いグラデーションはフレームを選ぶ上に使いどころが難しいため、見た目以上に上級者向きのカラーです。
使いこなせば誰にも真似のできないファッションが楽しめます。
<カラーの詳細説明>
肌に自然に溶けこむ、ナチュラルグラデーション。
美しく目もとの表情を彩ります。
繊細なグラデーションによって肌色と共鳴しあう色彩が、自然な陰影のある美しい目もとをアピールします。
ナチュラルメイクや補正効果のあるビューティカラーの役割も果たす絶妙な彩り。
ナチュラルに洗練された表情へと導くトーンです。
Rich G(リッチG)
リッチGは、濃度25%(視感透過率85%)のグラデーションカラーをまとめたシリーズです。
目元だけに印象をつけるならもう少し濃いほうが使いやすいかもしれませんが、肌のトーンに合わせるとグラデーションは馴染みよく顔全体の印象がよくなりますね。
また、グラデーションのおかげで夜間ドライブにも使いやすいという最大のメリットがあります。
(※夜間の運転・路上使用で視感透過率75%未満のレンズは使用禁止なので気をつけてください)
<カラーの詳細説明>
表情豊かに彩る、リッチグラデーション。
ドラマティックに演出します。
グラデーションが生む深い陰影の中に、色彩の揺るぎない強さを印象づけます。
高い補整効果があり、ビューティーにも、ファッションにも確かな存在感を演出。
ビターリッチ、スイートリッチ、クールリッチ・・・インパクトのある深い基調色が魅惑的なトーンです。
まとめ
今まで調べてもよくわからなかったというお客さまのために、アリアーテカラーの詳細をまとめました。
メガネ業界は長く勤められている人ばかりなので、アリアーテのように当たり前に使われているものに関してはわざわざ説明するのをめんどくさがってしまうケースもあるでしょう。
正直、アリアーテという名前が独特なおかげで悩まれてしまうんですよね。
たぶんこれで整理できたはずですし、今後もこういった業界内の通例について少しづつ情報の整理を進めていきたいと思っています。